UVブラックライトは、芸術や工業、科学研究などの幅広い分野で活用できる優れた機器です。UVブラックライトは可視光線ではなく主に紫外線を放射するという点で通常の白色電球とは異なります。そのため、購入前に追加で確認しておきたい項目がいくつかあります。
ブラックライトは、物体の蛍光反応を観察する必要がある場合に有効で、可視光をできるだけ照射せずに使用するのが一般的です。ブラックライトは主に紫外線A波(UV-A)を放射し、可視光線はほとんど放射しません。ここでは、UVブラックライトを購入する前に検討すべき4つの項目について説明します。
注意:UVライトを使用する際は、必ず安全に十分配慮してください。ブラックライトから放出される紫外線A波の量と強度は、通常有害なレベル未満ですが、紫外線は目に見えないので注意が必要です。UV LEDブラックライトの点灯中は、たとえ光が弱いように見えても直視しないでください。あまり強い光に見えなくても、その微弱な光は実際の紫外線エネルギーのごく一部でしかありません。
1) どのUVブラックライト技術が最も適しているか
UVブラックライトは、蛍光灯タイプとLEDタイプの2種類に大別されます。これまでは蛍光灯タイプが主流でしたが、LED技術の急速な進歩によりLEDタイプが優勢になりつつあります。
UV LEDブラックライトのメリット
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UV LEDライトは、蛍光UVブラックライトの通常1.5~3倍効率的です。
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UV LEDライトは2万5,000時間以上持続するので、蛍光灯のようにすぐ寿命が切れることはありません。蛍光ブラックライトの寿命は、通常5,000時間ほどです。
- UV LEDには、蛍光灯でよく使用される水銀などの有害物質が含まれていません。そのため、誤ってUV LEDランプを壊してしまっても、特別な処理をする必要はありません
蛍光ブラックライトはLEDブラックライトよりも安価な場合が多く、予算が限られている場合や使用期間の短い場合は蛍光UVブラックライトがおすすめです。ただし、費用の計算の際は寿命と効率を考慮する必要があります。
2) 必要なUVライトの量
紫外線の光エネルギーは目視できないため、紫外線ブラックライトの「明るさ」を示すのは容易ではありません。一般的に可視光線の量を測るのに用いられる指標はルーメンですが、紫外線は目に見えないためこの指標は使えません。UVライトの場合、最も精度の高い指標はUV光出力の「ワット」です。
紫外線の「ワット」とは何でしょうか。ワットは単にエネルギーの単位です。初歩物理でも習うように、エネルギーは電気、運動、化学、光など様々な形で存在します。ここでは、紫外線波長が放出する光エネルギーの量を測定しているのです。
基本的な用途であれば、100平方フィートの範囲を照射するのに1ワットの紫外線エネルギーで十分な効果が得られます。面積がその2倍であれば、単純にUVレベルも2倍にすることで必要なエネルギー2ワットが得られます。
注意:電力ワットと紫外線ワットは別物です!一般的な家庭用電球(例:60ワット)と同じように、UVライトも電気エネルギー消費量で表現してしまいそうですよね。しかし、最も重要なのは生成される光エネルギーの量です。
残念ながら、多くのメーカーはUVライトの出力を記載せず、ワット数のみを表示しています。例えば、40ワットと記載されているUVブラックライトは、40ワットの電気エネルギーを消費するということを意味し、製品の効率や実際に生成される光エネルギーの量といった情報は得られません。「消費電力40ワット」という情報だけでは、10ワットの紫外線(効率25%)を発する効率抜群のライトかもしれませんし、1ワットの紫外線(効率2.5%)を発する性能の低いライトかもしれません。
製品にUVライトの出力が記載されている場合は、その数値をもとに必要なUV光量を見積もることができます。そうでない場合は、大まかな効率を推定するしかありません。
大まかな目安として、蛍光ブラックライトの効率は5~15%です。つまり、消費される電気エネルギー100Wに対して、5~15Wの有用な紫外線エネルギーが発生することになります。
一方、UV LEDブラックライトの効率は蛍光ブラックライトより高い15~25%です。消費される電気エネルギーが同じく100Wの場合、UV LEDからは15~25Wの有用な紫外線エネルギーが放出されます。
効率値はUVブラックライトの品質や設計によって大幅に異なることがあるので、実際のUV出力値が記載されている製品をできるだけ選びましょう。もしそのような情報が得られない場合、UV LEDの効率は20%、蛍光ブラックライトの効率は10%を目安にすると良いでしょう。
以下は、UV LEDと蛍光ブラックライトの推定効率20%、10%に基づく簡単な比較表です。数値はあくまでも概算で、実際の効率値は各製品で異なる可能性があることを念頭に置いてください。
UVライトの必要量(100平方フィート) |
LED | 蛍光 | |
電力ワット | 5 W | 10 W |
紫外線ワット | 1.0 W | 1.0 W |
効率 | 20% | 10% |
UVライトの必要量(400平方フィート) |
LED | 蛍光 | |
電力ワット | 20 W | 40 W |
紫外線ワット | 4.0 W | 4.0 W |
効率 | 20% | 10% |
UVライトの必要量を算出例を2つ紹介します。
例1:200平方フィートの範囲に使用する場合、短冊形realUV 395 nm LEDは何フィート必要?
まず、この製品のUV出力は1フィートあたり0.9ワットです。100平方フィートあたり1ワットのUV光が必要と推定されるので、200平方フィートの面積には2ワットが必要であることがわかります(2倍)。
2ワットを0.9ワットで割り、2.2フィートが得られます。
したがって、必要な短冊形realUV LEDの長さは約2.2フィートとなります。
例2:400平方フィートの部屋に必要な20W蛍光UVブラックライト電球の個数は?
ここでは、蛍光UV電球の効率値が不明と仮定します。10%という概算値に基づいて、ブラックライト電球1個あたりのUV出力を2Wと見積もります。
100平方フィートに適した蛍光UVブラックライトの推奨出力は1Wなので、400平方フィートの場合、2ワットのUVを照射する蛍光UVブラックライト電球が2~3個必要になります
3) どの波長の紫外線を使うべき?
紫外線には広範囲の波長が含まれますが、実際に使用されるブラックライトの大半は、350~400nmの限られた波長の紫外線(UV-A)を利用しています。
とはいえ、その限定的な範囲内でも、波長の違いによって蛍光効果の強弱が生じます。下のグラフが示すように、ほとんどの蛍光は320~380nmの範囲で最も強く、365nmで最大となります。
そのため、蛍光を最大限出したい場合、ブラックライトの波長は365nmがおすすめです。
ただし、他の波長を選択したほうがよい場合もあります。UV LEDの場合、一般的に波長が短いほど価格は高くなります。例えば、395nmのUV LEDは比較的手頃な価格帯で十分量の蛍光を提供してくれます。
長い波長の欠点は、蛍光効果が若干弱くなることです。また、物体の影が紫色になって見える場合があります。365nmのブラックライトなら目視できないので、影も生じません。
一般的に、400nm以上の光は紫色光、つまり紫色が特に濃い可視光線とされているます。そのため、395nmはブラックライトの中でも最も波長が長い光と言えます。
ブラックライトから放出してしまっている可視光線の量を簡単に調べるには、ワットあたりのルーメンで表される発光効率を確認します。他の条件が同じであれば、発光効率が0.5ルーメン/ワット以下のUVブラックライトが最適です。この発光効率は、ブラックライト製品の測光試験報告書に記載されている場合がほとんどです。
0.5ルーメン/Wとは?ルーメンは明るさの指標で、標準的な白色灯の光出力を測定するのに用いられます。40ワットの白熱電球は450ルーメンです。したがって、0.5ルーメン/Wとは、1ワットの電気エネルギーを消費するごとにその半分のルーメンが放出されることを意味します。
具体例として、0.5ルーメン/WのUVブラックライトは、10ワットで5ルーメンの可視光線(40ワットの白熱電球の約1%の明るさ)を発します。
多くの製品では、使用されているUVの波長が明記されていなかったり、記載されていても文字が小さく見つけにくくなったりしています。400nmや405nmの場合が多いので注意が必要です。これらの波長は、395nmのブラックライトよりも製造が簡単でコストも低く、蛍光効果が弱いか、ゼロのこともあります。
4) どのタイプのUVライトを使うべき?
UV照明器具をには様々な形状のものがあります。いくつかの例を見ながら、それぞれどのような場面で活躍するかをご紹介します。
短冊形UV LEDライト
最も汎用性の高い形状のひとつが短冊形UV LEDです。これは、約0.5インチ幅の軟質回路基板に多数のUV LED(365nmまたは395nm)を取り付け製品です。
短冊形LEDは1インチ間隔でカットできるので、写真ボックスやディスプレイ棚のような狭いスペースにも設置できます。DC12Vの超低電圧で使用できるので、漏電や火災の心配もほとんどありません。
裏面には両面粘着材が付いており、LEDを様々な面に貼り付けることができます。
また、短冊形LEDは軟らかいので、湾曲した場所や凹凸のある場所にも取り付け可能です。
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強力UV LEDライトバー
強力UV LEDライトバーは、短冊形LEDに似ていますが、より長期の設置や、耐久性を要求される場合に適しています。1フィート、2フィート、4フィートの長さから選択可能で、デイジーチェーン接続で簡単に設置できます。
強力UV LEDライトバーは、トラス、棚、キャビネットなど、直線的で平らな面への設置に適しています。
UV LEDウォールウォッシャー
ウォールウォッシャー型UVブラックライトは、壁面をUV光で覆い、壁面の蛍光体(蛍光壁アートなど)を照らしたり、UVライトを壁面で跳ね返し、部屋全体に反射させたりするように設計されています。
ウォールウォッシャーは通常2~4フィートの長さになっており、床に固定する仕様です。角度を調節することで、UV光のエネルギーを必要な角度に向けることができます。
ウォールウォッシャーは、バーやナイトクラブ、イベントスペースなど、広い垂直面を照らす必要がある場合に最適です。また、UVライトを壁から壁の周囲に照り返させることもできます。こうすることのメリットは、UVライトを拡散させ、光エネルギーを均等に分配できることです。ただし、この過程でUVライトのエネルギーが多少失われる可能性があるので、ワット数を計算する際に多めに見積もる必要があります。
UV LEDフラッドライト
UVフラッドライトは、フラッド(=洪水)の名の通り、広範囲にUVライトを照射するのに適しています。ウォールウォッシャーと同様、ライトの角度調整が可能です。
UVフラッドライトは基本的に屋外使用も想定して設計されているので、屋外で蛍光を必要とする場合には非常に有効的です。野外イベントやパーティーで蛍光灯を使用する時や、家屋・庭にライトを導入したい時など、様々な場面で活躍します。
フラッドライトを設置する際は、必ず複数のライトを多方向から設置するようにしてください。そうすることで、紫外線を遮断するもののせいで部分的に十分な紫外線エネルギーが届かず「UVの影」ができてしまうのを防止できます。